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通訳レポート:オランダ「精神科医療にシュタイナーの風」

精神病ってなんだかこわい、家族がなったら恥ずかしい…
そう思ったことはありませんか。
え、自分は100%精神疾患フリーのつもり?

私はそうは思わない。自分はいろいろ持っているけど、たまたまバランスがとれているだけ。え、崩れてます?あ…。

どんな病であれ再び歩き出す力は、人に大切にされることで自分の内から湧き上がる。だから心病む人こそ大盛りサービスで大事にされてほしい。

シュタイナーのアントロポゾフィー医療を学び実践する医師の友人たち。この方たちは天で待ち合わせをしてきた兄弟姉妹の気がします。なかでも精神科医の姉妹たちの献身ぶりには脱帽。以前から日本の精神医療の「当然」がどんなに「自然」でないかを切々と語ってはおいででしたが…なんと昨年来、オランダで活躍するケン・タナカ医師を招いて講演会を開いておられます。お仕事、ご家庭、講演会企画、運営…。変えたい、と本気で腹を決めた人には1日は48時間なようで。

オランダ育ちのケン先生は英語のほうが講演はお楽、というので私は通訳をお引き受けしています。

ケン先生はベルナルド・リーフェグッド(Bernard Lievegoed リーヴァフッドとも)の名を冠したリーフェグッド・クリニックの精神科ディレクター。リーフェグッドはアントロポゾフィーを軸として組織開発、自分史ワーク(バイオグラフィーワーク)など時代のニーズに向き合う取り組みを先駆けた方。

このクリニックでの取り組みも「考えてみればおかしな常識」から自由です。まずクリニックである以前にコミュニティ。お医者さんも患者さんもお互いを「メンバー」と捉えます。だから初診でお医者さんは開口一番「さて、あなたはこのコミュニティにどんなことならおやりになれそうですか?」だから受け身に薬を飲み続けることはありません。言葉によらないセラピーを体で味わいながら、コミュニティに必要な仕事に取り組みます。

3週間ほど前のこと。大阪でも講演会がありました。「7月の東京の時とは内容をだいぶ変えたんですよ。」とケン先生はにっこり。今度は現場のエピソードをたっぷり増やしておいででした。

印象的なエピソードをひとつ。

50代のある男性は長年うつに苦しんでいました。いくつもの病院を経てリーフェグッドにたどり着いたそう。

リーフェグッドではスタッフが患者さんのしぐさ、表情を模倣して、自分の身体をとおしてその人の世界に想像をめぐらせます。「共感的(心寄せて)観察」と言います。

この方はいつも前のめりで机に伏すような姿勢。皆で模倣して、どんな職業が思い浮かぶかやってみると…あるスタッフが声を挙げました。「あ、ブラッド・メルドーみたい!」なんと有名なジャズピアニスト。ではジャズピアニストに大切な資質は何だろう…繊細で、精確であること。これが彼が求めているもの。(薬でなく!)それが身につく活動に取り組むことになりました。ジャズピアノそのものではありません。この方の場合は木工。 やがてこの方は木工、裁縫で一目置かれるようになり、人に教えるまでになりました。

「共感的観察」ではその人の心の声に集中する。投薬は最後の手段に過ぎません。

ここで「うつも治りました」となるとありがちなハッピーエンド。それもいいけれど、人と人の間に居場所を得られたことのほうが大事な気がするのです。

人は人の間で病み、人の間で癒える。病はひとりのものではない。そう思います。

大阪も、通訳冥利につきる至福のひとときでした。お聞きした瞬間、透明にしておいたはずの心が感動。日本語でこだまする機会を与えられていて…目の前に日本語を待ってくれている方たちが沢山いらっしゃる。

ありがとうございました。

オランダ見学ツアーに関心がおありの方、問合せフォームからご連絡ください。時期、日数等ケン先生とも相談しながら決めましょう。

 

 

 

シュタイナー医療講演「身体の神秘・鳴り響く音楽」と”中心をもつこと”

痛みには鎮痛剤。発熱には解熱剤。ウィルスには抗ウイルス薬。細菌には抗生物質。 悪いところは切除。食べられなくなったら胃ろう。

確かに必要なときもある。でもいつもこれでいいの?と思ったことはありませんか。

症候を「敵」のように見なして「やっつける」のをよしとする発想は次々と敵を生むだけ。しかも相手も強大になる。次々と新しい薬が必要になる。これでは人間は自然の一部であるはずなのに、自らの「とき」がわからなくなる。症候との付き合い方を自分で決められなくなる。不安に追われる生き方になる。

シュタイナーのアントロポゾフィー医療は通訳として私が最も優先する分野。

「感謝」と観察に基づく「哲学」があふれているから。古代の叡智が尊ばれているから。何も憎まず、病をも「大切な経験、メッセージをありがとう」と受け止めるから。その成果は身体的な症候の解消にとどまらず、もっと深い喜びに繋がっているから。

昨日開かれたシュタイナー医学入門連続講座の最終回は超満員。講師の山本忍先生はいつもご自分のみずみずしい言葉で驚きの洞察を語ってくださるので大人気。

講演は「身体の神秘・鳴り響く音楽」というタイトルどおりの壮大なもの。 通常の科学でも知られている魚類から人間への心臓の進化に人間の知性を読み取ったり、手足の骨の数の意味を読み解いたり…すみずみまで感謝と哲学が響いていました。

そして印象的だったのは「中心を決める」ということ。

忍先生にとってアントロポゾフィー医療は「中心」なのだそうです。

ホリスティックセラピーを自称する手法は星の数ほど。シュタイナー関係でも次から次へといろいろなメソッドに手をだすのを見かけます。でも違和感がありました。だいたいどれも半端。半端だからあれこれ手を出す。資格ビジネスにはまる。欲深い人が集まる。困る。

忍先生もいろいろご存知だけれど決定的に違う。 それが中心があるかないか、ということ。

先生は一度、長年続けてこられたその他のセラピーをすべて捨て、アントロポゾフィー医療を究める覚悟をなさったそうです。そして問いを投げては信じて待ち、答えが与えられる、をじっくり繰り返し、やがてアントロポゾフィー医療が中心として定まったそう。 するといったん捨てたものも収まるべき位置に再び収まったとのこと。決して並列的にではなく。

この道は内的な道。

私の中心は…アントロポゾフィー通訳法と言いたいところだけど、それはまだありません。なのでアントロポゾフィーを土台に少しずつ創っているところ。

あなたがどうしても残したい一つは何でしょう?
どうかあなたの旅路も守られていますように。

 

 

「英語と日本語は語順が違う」を疑うー通訳:トランプ大統領就任演説

なんだか芯から冷えますね。がまんしちゃだめよ、通訳者は鼻や喉を大事にね。

みんながそういうもんだと思い込んでわざわざ面倒にしていることなんて山ほど。でも通訳者を目指すならあと3回「なんで」「ほんと?」って考えてごらん。

たとえば 「英語と日本語では語順が違う」。「I love you」が「私はあなたを愛しています」、語順が違う、文化が違うと聞いたことない?

そんなのBullshit.(牛糞ではありません。牛糞はcow dungです)。

だいたい好きな人に「私はあなたを愛しています」って言わないでしょ。それ標準語書き言葉だし。話し言葉の方がよほど自然。「あたし好きなんだ、太郎くんのこと。」いけるでしょう?

人間はイメージが浮かんだ順に話す。通訳は話し手の頭の中のイメージ紙芝居ボックスを聴き手の頭の中に転送する。なるべく紙芝居の順をこわさずに。この転送に人工的な「現代標準語書き言葉」はあまり向いていません。標準語書き言葉で訳そうとすると主語、述語を気にして語順、イメージひっくり返し始める。しかも英語の主語を訳すとき「は」「が」をくっつける。英語と日本語では主語の概念が違います。「は」「が」つければいいものではありません。

だから標準語で訳すときは一工夫。「イメージの順」「深い呼吸」「骨導音発声」を心がけます。トランプ大統領就任演説、始めの3分ほど同通してみました。音声は動画の下のリンクからお聴きいただけます。

【私の通訳音声はこちら】

(YoutubeのABCの動画に勝手に音声かぶせるわけにはいきません。別ファイルとしましたが、背景にトランプさんの声、聞こえると思います。)

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