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仕事の英語がもう少しできたらいいのに、という方に

「仕事でもう少し英語ができたほうがいいと思って、スクールを150分週2回に増やしたんですが、どうも…」
―レッスンとレッスンの間の自習は…?
「いえ…忙しくてとてもとても。」
―じゃあ、英語を話すとき頭の中で英作文してるでしょ。
「はい。」

それだと半永久的に今のレベルでしょうね。目的が読む、書く、話すのどれであれ、まず「頭の中で英作文」レベルを脱しましょう。

そのためには「英語の耳」をつくること。

「耳ができている」とは英語という音楽のリズム、ビート、メロディーラインを獲得していること。これを抜かして話す練習をしても聴き手に負担をかける品性の劣る話し方になるばかりです。

耳をつくるためには3か月くらいのうちに100時間、ネイティブが自然に話している音声を聴くこと。週末を抜かして平日190分くらいでしょうか。

このシリーズ、価格の10倍の価値を認めます!

おすすめは朝日出版の100万語聴破シリーズ。たった1300円足らずで自然な語りの音声(音読=文字読み上げ、ではない)、対訳テキストがついています。英語と米語は音楽的には別の言語ですから、どちらか決めるといいですよ。私はイギリスのRP(標準発音)を選んでいます。その理由は次稿にて。

「耳ができた」しるしは

  • はじめて読む文章でも頭の中のネイティブさんが読み上げてくれる。
  • 息遣いから文の長さの予測がつく。
  • 語り手の感情が感じられる。

日本語でのコミュニケーションでは自然にやっていることですね。昔、留学した人が「しばらくすると急に聞こえるようになった」と言っていた、あの感覚です。今は留学しなくても十分できます。こうなると楽です。というよりこの感覚なしで学ぶほうがよほど無理です。相変わらずあちこちでやっていますけどね。

この状態で脳トポグラフィーを撮ると、言語野に英語担当の中枢を分化しています。因果関係か相関関係かは不明です。ただ、言えるのは「人間は異質なものを受け入れることで仕事効率が上がる」ということです。だって、それまで言語中枢全体で日本語を処理していたのに、半分ずつ日本語、英語にわかれても難なく同じかそれ以上の処理ができるのですから。

気をつけるのは、同時に文字を読まないこと。内容が気になるなら事前に読んでおいてください。現代人は目ばかり頼りにする傾向があるので、耳が負けてしまいます。

今までのレッスンではひと月400分、3か月で20時間。これではいつまでも感覚は変わらないと思いますよ。

自分と向き合って、毎日少しずつ積み重ねたことだけが身につく。レッスンは発表の場として利用しましょう。

楽器のレッスンを考えてみて。うまくならないからって家で練習せずに先生のところに通う回数を増やしますか?それを歓迎する先生はなかなか腹黒ですなあ。さて、英語の世界はどうでしょう。

なに?!自習はやっぱり無理?通勤やお風呂の時間を使いたくない?

じゃあ、話せるようになるためにお金と時間を両方使うより、プロの通翻訳者にお金だけ使って時間を買い戻すことをおすすめします。餅は餅屋。いまはみんなが英語餅屋になろうとしてる。正直、もったいないと思ってます。

【お知らせ】
それでもやりたいという方に、上のセオリーを実践するシステムをまもなくご案内いたします。お知らせご希望の方はこちらからどうぞ。来年春にはイギリスのストーリーテリングフェスティバルに一緒に参加しましょうよ。

 

theが「ザ」や「ジ」になる理由

「theの発音が変わる理由がわかりません」

ありがとうございます!こういうの大好き。理由があることを前提にしていらっしゃる。「ある」を前提にすると調べたい、知りたいという気になるものです。

日本でも律儀に使い分けています(笑)。
「ジ・アトリウム舞浜」
「ジ・アーバネックス芦屋」
「ザ・ドリフターズ」
「ザ・ピーナッツ」

なんでしょうね…実は場所はジで芸能人はザ?…そりゃいいですね。

学校では「ザを後ろが母音のときはジに変える」と習ったけれど…でも、これだと「なぜ」を説明しにくい。なんだかしっくりこない。

考え方がさかさまだからです。

aanのときもそうでしたね。aにわざわざnをつけるのではなく、anからnが落ちたものと残ったものがあった。後ろが母音だと落ちずに残った。後ろが母音だと古い形が残りやすい、といえます。

先に結論を言いますと、今回もそうです。後ろの単語が母音始まりのほうが方が前にいるtheも昔からの発音が残ってのんびりできました。後ろに子音が控えているとさっさとおしまい!になるのです。

ここでくせものがカタカナ表記。ザ、ジと書くとア段とイ段の違いだけで同格な母音を持っていると思うでしょう?わけもなく段を行き来しているようでしょう?でも英語では、ジ[i:]が天ぷらだとしたらザについている[ə]なんて天かすみたいなもの。

せめて「ジー・アトリウム」と書いてほしいもんです。書かないか。

ときどき次の語頭が子音でものんびりジーという人がいますが、間違いというより先祖返りです。

お急ぎの方はここまで。ここからは今の話をアカデミックにおさらい。


大切なのは時間の中での言語の変化を知り、楽器としての身体をベースに観察することです。後者が独りよがりにならないためには、耳ができていること。

さて、現在のtheのご先祖様はse, seo, þæt。いっぱいいますね。昔、英語の名詞は男性・女性・中性と分かれていたので冠詞もそれぞれに(上の順どおり)あったのです。þaは複数形。

オクスフォード大のオンライン語源辞典(画像をクリックすると辞典に飛べます)

「なぜ」と思ったときの強い味方です。

この冠詞の発音、前述のとおり今のtheよりずっと母音をしっかり発音していました。無理やりカタカナにするとseセ~, seoセーオ, þæt セア~ット(thatのテンテン無し版)。発音が聴ける面白い動画をご紹介します。

英語が苦手だという方のお話を伺ってみると、英語そのものが嫌いではなくて勉強がつまらなかったということがしばしばです。学校で「理由はない。そういうものだからまず覚えろ」と言われて何かがぷつりと切れてしまった、あとは仕方なく最低限でやってきた、と口を揃えます。 (Progress in Englishシリーズは中3で英語史がちゃんと出てきますから「なぜ?なぜ?」と問いまくれる。)

先生がご存知なかったとしても「自分たちで調べてごらん。発表の機会をつくるから」でよいではないですか。半端な物知りよりよほどよいです、自戒をこめて。

さて、大人にふさわしいを品格ある英語が身につく会員制教材、まもなく発表します。通訳道場★横浜CATSでも活用してる最強の学習ツールとセットです。会員限定国内外イベントもお楽しみに。ご関心おありの方はこちらからご連絡先をお知らせください。ご案内さしあげます。

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母音の前はaをanにする、のウソ

appleは出だしが母音だからnを足してanにする…本当にそう思っているの?じゃあなぜだと思う?どのくらい納得している?

納得していないのにこういう疑似ルール丸のみしていると、頭が断片化(fragmentation)しちゃう。デフラグしよう。

あのねえ、母音の前はnを足す、っていうのは考え方が逆さまなの。

考えても見てごらん。aってどういう意味?「1」でしょ。「a」単体でそんな意味ある?

aはoneの残骸なのよ。oneがめんどくさくなってanになってとうとうaになった。でも後ろが母音の時はくっつけて発音すると言いやすいから断捨離されずにnが残った。

試してごらん。a apple とan apple。nがないと喉がつっかえるでしょ?

じゃあ子音始まり。a deskとan desk。nがじゃまでしょ?

先生の説明や頭で覚えることより大事なことがある。自分で言ってみて、自分のノド、口、耳で確かめる。ルールを仮定する。試して抽象度を上げる。

ほかの言語を学ぶのもおすすめ。ドイツ語やフランス語はein, unと「1」に近い形がちゃんと残ってる。

英語がわざわざ後から何かを足す、ということはめったにありません。

通訳者は膨大な情報を処理します。疑似ルールを見抜く地頭力を味方につけましょう。

 

そのアクティブラーニング、大丈夫?

久しぶりに再会した母校の先生は不気味なほど30年前とお変わりなく。なぜかこちらばかり大変貌。

「最近あちこちでアクティブラーニングっていうけどねえ。あなたたちほっといたって勝手にアクティブで少しは大人しくしてもらいたかったわよ。」

え、先生、そりゃ無理ですよ。まあだいたい日本の学校教育トレンドは私たちの30年遅れですから、構わずいきましょう。おっしゃるとおりラーニングはそもそもアクティブ。アクティブラーニングに驚いているのは日中韓くらいらしいです。

そういえばこんなことがありました。こないだ研究授業に招かれた学校、授業の前半はひたすら講義だったんですけど、突然「アクティブラーニングやります」と号令がかかって、生徒たちがグループを作ってワイワイやりだしたんです。でも何か違うんです。ワイワイやっているけれど寝てたところを起こされてやらされているみたいで。

そこでアクティブっていっても内的、外的にわけて考えたらどうかと思ったんです。

①の内外パッシブの極端な例はつまらない講義きいて居眠りしている状態。
②の内パッシブ 外アクティブはワイワイやっているけど形だけ。
たぶんあの授業では①から②に移動したんでしょう。

成果を上げているアクティブは③の内外ともにアクティブですよね。

でもこのごろ④の内アクティブ 外パッシブが過小評価されていると思うんです。

そういえば、覚えています。
中1の理科1時間目。オパーリン博士とコアセルベートを語る先生の熱さ。で、宿題はなんとそのストーリーを漫画に描いてくる!
ピューリタン革命を4か月にわたって熱く語る世界史の先生。私の頭のなかは17世紀イングランドの大河ドラマでした。時代考証はめちゃくちゃでしたけど。もうずっとピューリタン革命語っててください、と思いました。フランス革命は自分で調べるからいいです、って。

先生がた、本気のストーリーテラーでしたね!(大人しくない!!)熱くて面白い語りで聴くことを鍛えられました。

学びは内的にいつもアクティブ。ただし外的にはアクティブとパッシブを行き来する。この動きが大事なんでしょうね。生きているものは動く。

これ、ダイナミックラーニングと呼びたいんですけどね。先生、どうでしょう?

 

「英語と日本語は語順が違う」を疑うー通訳:トランプ大統領就任演説

なんだか芯から冷えますね。がまんしちゃだめよ、通訳者は鼻や喉を大事にね。

みんながそういうもんだと思い込んでわざわざ面倒にしていることなんて山ほど。でも通訳者を目指すならあと3回「なんで」「ほんと?」って考えてごらん。

たとえば 「英語と日本語では語順が違う」。「I love you」が「私はあなたを愛しています」、語順が違う、文化が違うと聞いたことない?

そんなのBullshit.(牛糞ではありません。牛糞はcow dungです)。

だいたい好きな人に「私はあなたを愛しています」って言わないでしょ。それ標準語書き言葉だし。話し言葉の方がよほど自然。「あたし好きなんだ、太郎くんのこと。」いけるでしょう?

人間はイメージが浮かんだ順に話す。通訳は話し手の頭の中のイメージ紙芝居ボックスを聴き手の頭の中に転送する。なるべく紙芝居の順をこわさずに。この転送に人工的な「現代標準語書き言葉」はあまり向いていません。標準語書き言葉で訳そうとすると主語、述語を気にして語順、イメージひっくり返し始める。しかも英語の主語を訳すとき「は」「が」をくっつける。英語と日本語では主語の概念が違います。「は」「が」つければいいものではありません。

だから標準語で訳すときは一工夫。「イメージの順」「深い呼吸」「骨導音発声」を心がけます。トランプ大統領就任演説、始めの3分ほど同通してみました。音声は動画の下のリンクからお聴きいただけます。

【私の通訳音声はこちら】

(YoutubeのABCの動画に勝手に音声かぶせるわけにはいきません。別ファイルとしましたが、背景にトランプさんの声、聞こえると思います。)

ほんとに便利な時代。通訳練習素材には事欠きません。腕が鳴ります!

ご希望の方には通訳道場お申し込みの前にお目にかかってお話伺っています(もちろん無料)。
お気軽にご連絡ください。

 

私が授業でスラングを重視しない理由

Are you nuts?を「あなたたちは木の実ですか?」なんて訳したらあなたがnuts。これ、「あんた気が変?」のような意味。

「え、こういうの面白いです。もっと知りたいです」

うん、気持ちはわかる。使えるとちょっと楽しいしね。でも授業では優先順位高くする予定はないな。

「下品だからですか?」

西洋の小鬼、ガーゴイル。なんだか恐くないですねえ。

西洋の小鬼、ガーゴイル。なんだか恐くないですねえ。

ううん、そうじゃない。通訳ともなればお上品ぶるより言葉の幅を広く持つことはとても大切。ただ、こういうスラングや若い人の言葉は変化が速い。nutsなんて昔からの言い方だけれど、すぐに古くなってしまうものも沢山。アメリカの日本語学校でアメリカ人の先生が一生懸命「ナウい」なんて教えていたら、噴き出しちゃうでしょ。ネットや映画の方が早いんじゃない?

それにね、そういう言葉はぜひ仲間から吸収してほしい。日本語でもそうだったでしょ。お母さんに「どこでそんな言葉づかい覚えたの!」と叱られたのは何とも楽しい悪ガキ仲間の言葉。そうやって大人をびっくりさせるのも楽しかったでしょ?

「悪い」言葉は蜜の味、仲間のパスワードみたいなもの。先生に習うなんて野暮もいいところ。どうぞ、親ごさんや先生の目の届かないところで仲間からごっそり仕入れてください。

息を呑むほど美しいものでなければ模倣するに足らない

息を呑むほど美しいものでなければ模倣するに足らない

さて、先生は何をするかというと…文化遺産のバトンタッチです。何がどんなに一時流行しようがしまいが、これを知ることは過去と未来への「責任」だ、といえることを優先します。

それを受け取った皆さんがどこへ出しても恥ずかしくない人になりますように。
突然エリザベス女王に出会ってもうろたえずにすむような。
そして、よくぞ異郷のことばを敬意をもって学んでくれた、と感動される人になりますように。

今夜(未明)のトランプ氏就任演説、気になります。アメリカ大統領の演説には受け継がれる、こだまし続けるフレーズがある。トランプさん、tweet(さえずる)しないでbark(吠える)ばっかりしているけど、どうなることやら。

 

英語が話せれば世界が広がると思っている?

「ああ、英語が話せるようになりたい!」

なんでまた?

「だって世界が広がってグローバルに活躍できると思って。」

もう…どこの売り文句に鵜呑みにしてるのよ。

 あのね、英語は話せるだけじゃどうにもなりません。そんなところで止まっていたらイワシの群れのど真ん中。ほら、クジラが大きなお口を開けて近づいてくるよ。

 話せなくていいと言っているのではありません。そこで止まるなと言っているのです。

書けなくてはどうにもなりません。

 例えばアメリカの名門リベラルアーツカレッジはどこもライティングを重視しています。留学生には始めの段階でスピーキングのサポートがあることもあります。でもそのあとは本科学生と一緒にライティング・センターのお世話になるのです。たとえば内村鑑三も学んだアマースト・カレッジ。

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「いや、そこまでは望まないな…。海外旅行のときにもっと楽しめれば…」

 え、今なんとおっしゃいました?

 あなたに仕事で会いにくる海外の方たちは、選ばれて日本との懸け橋となった優秀な方たち。高校時代からライティングを叩き込まれているはずです。そんな人たちに選ばれているあなたにはもっと高望みがふさわしい。

それに海外旅行でちょっとしゃべって楽しい、というレベルなら6か月、8割独学でなんとかなる方法があります。(おお、DL用の小冊子をまだ書いちょらんかった)

さて、書けるようになるには読めること。読めるには聴けること。意外かもしれませんが、耳ができていないと無理して読むことになります。

そこでお勧めなのがAudible.アマゾンが運営するオーディオブック屋さんです。整った文章を耳から入れたら一石二鳥。

2017-01-18

まあ、あなたの人生の次の扉が本当に英語かどうかもう一度考えてみてもいいかもね。

それでもやっぱり英語に挑戦したいなら、今度は半端なこと言わずに頑張ってください。

こりゃもういいや、餅は餅屋、というお方はどうぞこちらへ。。

ネット検索時代、頭の中に知識は不要?

今日、ネットを検索すればたくさんの情報が得られます。ならば頭はスッカラカンでよいでしょうか。知識を覚えることは旧弊で無意味でしょうか。

「そんなはずはない。でも『もう覚えなくていい』という若いもんをうまく説得できなくて。」という方に”Urban Myths on Learning and Education”共著者のひとり、オランダ・オープンユニヴァーシティのポール・キルシュナー教授(教育学)が味方します。

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what we already know determines what we see and understand, and not the other way around. It is our prior knowledge and experiences that determine how we see and interpret the world around us. It is also our prior knowledge and experiences that determine how successfully we are able to search for, find, select and process the information available on the World Wide Web.

すでに何を知っているかが我々が見るもの、理解することを規定する。逆はない。先立つ知識と経験が周囲の世界をどう見て解釈するかを規定する。どれほどうまくネット上の情報を検索し、見つけ、選び、処理できるかを決めるのも先立つ知識と経験だ。

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ベテランの教育関係者は、若い学生たちが器用にスマホをいじってひっきりなしに検索している様子を見て、すっかり情報リテラシーがあるものと思い込みがちです。ところが…

…much research has shown that effectively solving information problem is for most students, a real problem. According to Miller and Barlett, effective Internet use requires distinguishing good information from bad. They noted that learners not only have problems finding the information that they are actually seeking but also often trust the first thing they see, making them prone to “the pitfalls of ignorance, falsehoods cons and scams”(p.35).

多くの研究が示しているのは、情報がらみの問題に効果的に処するなどということはほとんどの学生にとってそれこそ本当に問題であるということだ。ミラーとバーレットによれば、ネットを効果的に利用するには良い情報と悪い情報を見分けることが不可欠だ。彼らはこうも指摘している。学習者の問題は本当に求める情報が見つかるかどうかだけではなく、往々にして最初に目に入ったもの信じ、『無知、欺瞞、いんちき、ぺてんの落とし穴』に陥りがちだということだ。

お次は学生の珍宿題。でもかわいいものです。

The mistaken beliefs that (1) the teaching/acquisition of knowledge is no longer necessary, and (2) learners are digitally literate and capable of solving information problems lead to them writing essays on Baconian science with texts about the twentieth century British artist Francis Bacon…

こちらが勘違いして(1)知識の教授や獲得はもう要らない(2)学習者はデジタルリテラシーがあり、情報に関する問題を解決できる、などと思い込んでいるから、学生がフランシス・ベーコンの自然学について小論を書くのに、20世紀英国の芸術家フランシス・ベーコンについての文献を参考するような羽目になる。

students-1177711_640大学ならば教員が「君、それはベーコン違いだ」と気づきます。でも社会に出てからはそうはいきません。

We actually need more knowledge to learn and apply the skills we need in our knowledge society. And the skills that we need also need to be learned! 

実のところ、この知識社会で必要とされるスキルを習得し適用するにはさらなる知識が必要なのだ。そうした必要なスキルも習得しなくてはならないのだ!

まったく当たり前のことですが、ネットの情報空間が無限だとしても、自分が使えるのは自分の器のサイズぶんに限るということです。

近所のご長老がいつも言っています。「教わるときはなんとなく聴くんじゃなくて、頭の中にしっかり入れなさい。自分の頭の中に入ったものは人に盗まれないよ。」

そう、オンラインのものは電気が切れたら見られない。
本は盗まれるかもしれない。
自分の中にあるものは誰も盗めない。

さて、情報を知識としてとり入れるとき、偽りでないか、剽窃でないか、プロパガンダでないか、吟味することが不可欠です。この習慣は高校、大学で鍛えられるのが普通ですが…日本はめっぽう弱い。海外では問題となったセラピー、メソッドが日本に忍び込むこともしばしばだと聞きます。無理もないのですが。

次回はそのあたりのことを。最近、まとめサイトへの疑惑が話題になりましたしね。

 

お手本の英語音声よりこだわって欲しいのは…

留学帰りのもと同級生の英語を聴いておおっ!と思ったことはありませんか。発音が見違えるようにかっこよくなったのに、本人はなんともないような顔。そう、あれはかっこよくなったというより自然になったのです。だから楽。それが耳、カラダのなせるわざ。 

あれれ?日本で日々刻苦勉励したのに…どうも…それはあなたの認知力の問題ではありません。日本にいる限り、物理環境から生理的影響をうけます。それをアタマでカバーしようとする人もいますが、I am much too lazy to do so. Let Nature be your teacher.

ではどうしましょう。 

自分の声を聴くことです。「お客様の声」というように、声はひとの心、ひととなりそのもの。声は身体という楽器を通して響きます。頭と口だけの舌先三寸は「まこと/真言」でない。

着替えることも、人と取り換えることもできない、アイデンティティそのものである声。

人は自分の声がとても気になるのです。

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以前も紹介しましたが、イギリスのコリン・レイン博士は元聾学校の先生。聾のある生徒たちの観察から、通常学級の子どもたちにも通用するシステムを70年代に作り上げました。

そのシステムではお手本をリピートするだけではなく、リピートした自分の声を録音、聴き、気に入るまで聴いて録りなおすのです。相手は機械ですから何度繰り返しても文句を言いません。自分で素敵、と思えたら先にすすみます。終わるころには皆ご機嫌です。そりゃそうでしょう。

これがセルフモニターの力。単独アクティブラーニングです。単独、が大事です。

最近、面白い論文を見つけました。ボローニャ大学心理学部のカンディーニ教授グループが自分の声への認知を研究したものです。

実験はシンプル。同じフレーズを自分の声+親しい人の声or知らない人の声で続けて聞きます。問いを2パターン用意します。「二つとも自分ですか?」「二つとも同じですか?」

後者の方が答えの精度が高いのだそうです。他者の声を、そうとわからないまま「自分かも?」とアタマで考え出すと混乱するのですね。

レイン先生の調査レポート集。

レイン先生の調査レポート集。

レイン先生だったらこの録音を聴いている被験者の唇に注目したことでしょう。人間は自分の声を聴いているときは、おのずと唇がわずかに動くことが多いそうです。カラダはわかっているんですよ。

録音はスマホでもICレコーダーでもできます。語学専用機器で少しずつリピートしては録音、を繰り返すならこちらがおすすめです。エデック社のSDリピーター。とにかく堅牢で、気が散りません。FBなんか見られません。ワンツール、ワンミッションです。

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録音が目的ではありませんから、リアルタイムでセルフモニターできるとなお便利。握りこぶしを口に近づけてマイク代わりにしてもよいでしょう。帽子をかぶってもいいですね。英語子音の高周波をサポートできるツールはなおよいです。

人間は自分が発する声と言葉がとても気になるのです。「間違ってもいいから言ってごらん」なんて不自然で失礼。だいたい、間違っているかどうかなんてわかりません。 

まず憧れるに足るモデルでべらぼうにインプット、そしてべらぼうに模倣を。

大人の外国語学習で大切な2つのこと

外国語は小さい頃から、と思う多くの親御さんがお子さんを英会話教室に通わせます。ところが人生に想定外はつきもの。
「急に中国と取引することになった…。」
「インドネシアに単身赴任することになった…。」
ビジネスと医療の用事は英語が国際標準語とはいえ、心ほぐれるのは地元のことば。だって人は言葉に全身で関わるもの。ふるさとの言葉は骨身に深くしみこんでいます。遠くからやってきた友人が自分のふるさとの言葉を少しでも話してくれると、なんともいえず嬉しいもの。
大人が外国語を身につけるのに大切な2つのポイントをフランスの耳鼻咽喉外科医、アルフレッド・トマティス博士が指摘しています。1つはおなじみの「まずその言語の耳をつくれ」。もう1つが意外にも「文系」的で、言われてみればごもっともで興味深かったのでご紹介します。出典は博士の初めのころの著書「L’oreille et le Langage」(耳と言語)です。
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アルフレッド・トマティス博士。その目には何が映っていたのか…

ちなみにトマティス博士が開発した聴覚発声メソッドは、ノーマン・ドイジ博士の近著The Brain’s Way of Healing「脳はいかに治癒をもたらすか」でも丁寧に紹介されています。
(トマティス博士の著書はほとんど英語、日本語に訳されていません。もともとの情報を知るには日本の関係者を訪ねるか、フランス語で検索するのがコツです。)

まず耳をつくれ

“En tout cas, il n’est pas à douter qu’une langue étrangère voit son intégration se faire par l’oreille. Cette acquisition aidée par le texte et l’image n’en est pas moins essentielle et primordiale. C’est en l’entendant que l’on apprend une langue; et en l’entendant correctement?
Que veut dire entendre ou l’entendant correctement?”
「どんな場合でも、外国語をものにするには耳が決めてであることは疑う余地がない。たとえテキストや画像という補助があるとしても、聴覚での学びが原点だ。言語は聴くこと、それも正しく聴くことを通して身につくのだ。はたして、正しく聴くとはどういうことだろう?」
私たちは胎内にいるときから背骨に響く母親の声を聴き、母語のテンポやビートといった音楽的土台になじみます。生まれてからはその言語がそれぞれの環境にあわせて選び取った音の分布(地域言語ごとの優先周波数帯)に耳をなじませます。これを母語への言語コーディングと言います。
“Cette limitation, qui est presque la règle, ne nous a rendus, maîtres à manier, avec toute la finesse; toute l’agilité désirée, qu’une gamme sonore et rythmique propre à une language.”
「この実際には規則ともいえる限界(訳注=コーディング)があればこそ、音とリズムのモードのパターンを1つだけ然るべき巧みさと速さでマスターすることも可能だ。そのモードは言語ごとに独特だ。」
“Mais quel monde acoustique différent que celui d’une autre langue! C’est un conditionnement tout autre qu’il faut subir. Sans lui; l’intelligibilité nous rend inertes devant toute tentative d’émission articulée que l’on sait ne pas pouvoir contrôler correctement.”
「別の言語の音響世界はどれほど異なっていることか!
新たにまるごとコンディショニングを確立しなくては。
それ抜きになにを外に表現しようと試みてもうまくゆかず、コントロールできていないと思い知ることになる。」
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はじめて外国語を耳にしたときに単語の切れ目がわからないのは、おのずと母語の言語コーディングを通して聴くしか方法がないからです。外国語をコーディングするには何より自然な発話を聴くことです。教材用にわざとらしい録音になっているもの、聴きやすいようにゆっくり読み上げてあるものは避けましょう。自然が一番です。検定外教科書Progress in Englishシリーズを応援してくださった脳神経外科の植村研一先生も3か月以内に100時間聴くことをすすめておられます。そうすれば外国語の回路ができ、日本語と混線しなくなるからです。

そして、ひとりになれ

トマティス博士2つめのアドバイスは「大人は一人になれ」。

英語の授業で先生がお手本のCDを再生する場面をよく目にします。ところがクラス単位のペースでは自分が何をやっているのかどうでもよくなるもの。リスニングもシャドウイングも精度がいまひとつ。しかも人前で口を開くと人目が気になるもの。

耳ができて、今度は口の練習となったらあくまで一人が基本です。ひとりになって、自分と向き合わねばどうにもならないのです。

“Cette technique offre des avantage certains. Le caractère individual du procédé y contribue largement.
Chacun, en effet, dispose de sa machine suivant son bon vouloir, dans une progression répétée; perfectionnée; sans intervention extérieure, sans les oreilles juges du maître. Cette libération est un facteur éminemment favorable à l’éclosion du départ.”
「この手法(訳注=自分ひとりのペースで学ぶ)には確かな利点があり、プロセスの個別化は学びの成功に大いに寄与する。学び手は自分専用の機材を自分の進歩に合わせて使えるので、好き放題繰り返すこともできる。外からの介入や先生の裁きの耳にさらされることもない。進歩するためには始めから自由が極めて大切な要素なのだ。」
“Notre inhibition devant toute langue étrangère s’augmente d’autant plus que la crainte du ridicule…”
「外国語を学ぶ際に『馬鹿にされたくない』とわけもなく恐れると、ますます自分を抑圧するばかりだ。」
“Elle se trouve accrue par le fait que les inhibitions chez lui sont plus grandes; sa position sociale le bloque; sa peur du ridicule le soustrait à ce jeu de construction linguistique. L’habitude qu’il a d’évoquer à tout moment son intelligence pour comprendre ne lui rend aucun service; au contraire, elle intervient sur ce circuit, sur ce rail à créer et, plutôt que de l’aider, elle en entrave l’éclosion.”
「ますます(学びが)脆くなるのは、大人になるほど抑圧が強くなるからだ。社会的地位を気にしたり嘲笑を恐れたりするばかりに言語構築ゲームを楽しむことから自分を引き離している。年がら年じゅう知性を引っ張り出して理解しようという癖もなんの役にも立たない。その逆で、知性はそこに敷設されるべき回路、走路の役に立つどころか邪魔だ。」
ひとりになって、知性のスイッチを切って、ひたすら自分の音に向き合う…人目から隠れて幼子に還るようです。
ぜひお手本の音源とリピートや録音ができる機器を使うのをお勧めします。スマホの録音、録画機能でもいいですね。
ひとりになる?そんな時間ない?だからスクールに通っている?
そりゃいいカモだわね。
トマティス博士の言葉を裏返しにしてちょっと厳しいことを言わせていただきます。「まずよく聴いて耳を作り、次にひとりになって自分の音に向き合う覚悟がなければ外国語習得は難しい。」
イチローだって素振りするのです。
外国語はプロ野球よりよほど敷居が低い。理に適った方向で努力すれば必ず道が開けます。
私は今、どうしても必要なのでフランス語・ドイツ語を独学しています。臨界期?学ばない言い訳に興味はありませんね。私には関係ないと思っていますし、そんなこと言っている場合ではないのでね。
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