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違いはなに?通訳プロ・アマの正確さ、聴きやすさ

「冠木さんはスピーカーの言ったキーワードはきっちり訳してる。でも単語を単語に置き換える通訳者とは別格の聴きやすさ。 何が違うんだろう??」

―たぶん、私しかやっていないのはノンバーバル情報の活かし方。

「それって冠木さんだからできるのでは?」

―いえいえ、そんなことないですよ。個人のセンスだのみじゃありません。写真、音楽…理詰めです。ステップもあります。まあ、練習しなけりゃお話にならないけどね。

ノンバーバル情報の主な要素はひとまず2つ。ひとつは文法。もうひとつは音声。

文法パーツはカメラの設定指示みたいなもの。絞り(ボケぐあい)、レンズの長さ(どのくらい周囲を入れるか)、露出(明るさ、ムード)が読み取れる。

秋明菊が写っているという共通点はあるけれど…絵が違います!

たとえば”My father is working for a bank.”と”My father works for a bank.”
前後の文脈なしでも気配の違いが感じられますか?

東北新幹線下り、仙台到着前の車内放送は”We will shortly be arriving at Sendai.”
in Sendaiだったら気持ち悪い、という感覚がありますか?

このあたり等閑だと同じものが写っていても写り方が違う写真になる。ピンぼけ手ぶれ写真が紙芝居みたいに重なると、間違っていないけれどわかりにくくなる。中高の英文和訳もしくはそれに毛が生えたような単語置き換え通訳によくある失敗。

さて、ふたつめの要素、音声は文字を超える情報を担う。同じ「おはよう」でも人によって、気分によって調子が違うでしょ?そこまで聴いて。ちゃんと聴けば声のメロディは記憶に残る。それを不自然でない程度にこだまする。そうすると声のカノンになる。話し手がモーツアルトなら通訳者もモーツアルト。これなら聴いていて楽。話し手がモーツアルトなのに通訳者がブラームスではおかしい。すべきことをせず勝手なことをしている。

この二人の音楽が8小節ずつ交互に聞こえるなんて…

さて、これら2つの要素も日本語がいまひとつでは台無し。そのことは次稿にて。

講座の質を最後に決めるのは通訳者です。海外講師を迎えたのに「英語ができる身内」に通訳を頼んでいませんか。英語ができるのと通訳できるのは別のことです。頼まれた方も気の毒、せっかくの準備ももったいない。

道場生のインターンとして無料通訳派遣も承ります。ご相談ください。

 

プロになれること、なれないこと、私なりの基準

もうずっとずっと前のこと。
大学OBOGのオケがメサイアに挑戦するというので紛れ込みました。

練習ではこう思ったのです…
えええ!指揮はあの大御所先生?!
オケのみんなもすごく上手。
第1ヴァイオリンは音程バッチリ、キレッキレ。
第2ヴァイオリンも深くて確かでいいわあ。
合唱のハーモニーも素晴らしい!
みんなも私もやるじゃん。

そう、こんな感じ!

と・こ・ろ・が…

本番のCDを聴いて奈落の底に落ちました。
全く違っていたのです。(ご紹介しませんが)

いったい何を聴いていたのか…あれは幻聴?

本番はみんなまじめな顔してずっこけドリフのオーケストラ。
よく客席からブーイング飛んでこなかったこと。
ソロを歌ってくださったプロの歌手の方たちには感服するばかり。
どうして噴き出さずにいられたのか…。

あまりに不可測なところでコケるので
眠気予防BGMにはいいけれど、おかしすぎる。

これが生涯アマということ。

技術レベルの問題ではありません。

セルフモニターのタイムラグです。

初心者でもセルフモニターが効いてどんどん伸びることがある。
それが「筋がいい」分野。

残念ながらこの仲間はオケとしてはセルフモニター不足。
「できてない」ことを「自覚できない」。調整が必要なのに気づかない。

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逆に、私は仕事である通訳の録音は想定どおりか、それ以上。

そりゃ「できてる」のは「知っている」。そんなの当たり前で別に気に留めることでもない。

気に留めない?

そう。

いい加減では?

いいえ。

だって「気」は他者メインに使っているから。仕事ってそういうものです。
自分メインに用いるならそれは練習。家でやればいい。

セルフモニターにずれがなく、必要であれば瞬時に調整しているみたい(無責任)。たぶん、あとで確認、ではなく確認イメージを「予想」している。で、予想以上のことを「本番」でやる。

相手に合わせすぎて自分がお留守なんてことは今までありませんでした。

内村鑑三が「真理は意地悪くも楕円である」と言っていたのを思い出しています。楕円の中心点は2つあるのですよね。あんな感じです。他者にも自分にもフルに向き合っているのだけれど、普段の自分意識とは高度が違うような。

みなさんはどんな分野でそんな気分を味わっていますか?